H27年3月28日(土曜日)
大阪の帝国ホテルにて行われた『アイリーア発売2周年・適応追加記念講演会』に参加しました。
講演1 「網膜中心静脈閉塞症におけるアイリーアの臨床評価」
網膜中心静脈閉塞症(CRVO)では、疾患活動性が長期間持続する場合、過剰に産生されるVEGFを継続的に抑制する必要がある。網膜中心静脈の狭窄により血流量が低下したり、低酸素に陥った細胞から、VEGFなどのサイトカインが過剰に産生され、黄斑浮腫による視力低下や血管新生による血管新生緑内障から失明にいたる危険がある。CRVOの病勢の把握とVEGF阻害剤、レーザー治療を適切に組み合わせた治療を早期から開始することが重要である。
講演2 「アイリーアによって加齢黄斑変性治療は変化したか」
滲出型加齢黄斑変性症では、さまざまな要因によって、主に網膜色素上皮細胞より、VEGFファミリー(VEGF-A、PIGF、VEGF-B)が慢性的に過剰分泌される。VEGFファミリーが炎症細胞や血管内皮細胞に発現しているVEGF受容体に結合することで、血管新生や炎症、浮腫が引き起こされる。アイリーアはVEGF-A、PIGF、VEGF-Bと結合し、血管新生や炎症反応を抑制する。特に日本人に多いポリープ状脈絡膜血管症(PCV)への有効性は高い。
講演3 「病的近視における脈絡膜新生血管の治療戦略」
日本人を含む第Ⅲ相国際共同試験(MYRROR試験)の結果より、アイリーアの疾患活動性に基づく投与により、24週後に平均12.1文字の視力改善が得られた。その後も視力は維持され、48週後には全体で平均13.5文字の視力改善が、また50.0%の患者で15文字以上の視力改善が得られた。
講演4 「糖尿病黄斑浮腫の診断と治療」
アイリーアは糖尿病黄斑浮腫(DME)の病態への関与が示唆されているVEGF及びPIGFと結合し、血管透過性亢進に伴う黄斑浮腫を改善する。ただし、血糖コントロールや網膜症の病勢が悪い場合、継続治療によりVEGFの再産生を抑制しないとコントロールは難しい。レーザー治療、ステロイド、VEGF阻害剤、場合によっては硝子体手術を施行。
講演5 「糖尿病黄斑浮腫に対するアイリーアへの期待」
当院でも、多くの患者様へ抗VEGF治療を行っています。まずは、それぞれの疾患による病勢の診断をつけ、適切な時期に抗VEGF剤の投与を行い、その後の再投与の必要性、また治療計画を立てていくことが重要です。
院長